宇宙機の発達には、初めに火炎武具や花火の存 在がありました。やがて19世紀末の空想科学物 語に刺激された人々の科学理論研究・実験があっ てはじめてロケットは宇宙に旅立つことの出来る 乗り物になることが発見されました。今日巨大科 学の代表のように考えられている宇宙ロケット も、その時代には模型なみの大きさのものだけで あり、まさに「手のひらの中の科学」でした。特 に日本ではペンシルロケットという手の中にすっ ぽり収まってしまうようなミニサイズの実験機が果たした役割が大きいことは、とても有名な話です。 世界第1級の技術を有する「H-2ロケット」が打ち上げられる現在、模型ロケットは実機のための研 究機という役割はすでに果たし尽くしています。子どもたちのオモチャとして、大人の趣味としてその辺 の何気ない広場や公園で手軽に打ち上げられています。しかしその中には、物理学・流体力学・飛行力学 など、さまざまな科学要素が含まれているのは、以前と少しも変わりありません。 モデルロケットは、紙・木・プラスチックスという、そのあたりにある材料で作られ、ロケットの持つ 科学性やスピード感、高度達成感など感動を呼び起こす強い刺激性はそのままに、国際ルールの存在や安 全面の配慮が十分なされてる、数少ない科学教材です。いま「理科嫌い」、「科学離れ」が憂慮されてい ます。それは科学がコンピューターや宇宙開発に代表されるように、途方もなく巨大でとても手の及ばな い世界のように感じられるからではないでしょうか? 手のひらに収まるモデルロケットには、もう一度 科学を子どもたちの手のひらに呼び戻す魅力と力があります。日本モデルロケット協会では、ロケット教 室や自主安全講習会、ロケット競技会、展示会などを通じて、日本の青少年の宇宙科学教育に貢献したい と考えています。 ←前へ戻る |