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基本知識 No1
全国大会で失敗しないための基本知識 1/3

〜 ワンランクアップをめざしたモデルロケット製作の基礎知識 〜


失敗から学ぶ モデルロケット 講座 #1
− 「取れないランチラグを考える」 −

(失敗を楽しめ!予想外の失敗は最大の収穫です。)

 ペイロード定点競技で 機体が発射台を上昇する時、ランチロッドに引っ掛かったり、ランチラグが外れてしまったりする失敗を多く見かけました。
 なぜ、このようなことが起きるのでしょうか?その原因を究明し、どのようにランチラグを付けるかなど、成功する機体作りの参考となるような指針を示したいと思います。

 まず、モデルロケットは離昇を始めると、ランチラグがランチロッド上を滑走します。ラグとロッドの擦れ合う所に、摩擦力が発生します。その力で機体の重心回りに、回転モーメント(回そうとする勢い)が生じます。(図−1)この回転モーメントの大きさは摩擦力の大きさと、重心から摩擦力の作用線までの距離に比例します。ペイロード定点競技の機体はペイロード部を逃げる為、ラグパイロンを介してラグを取り付けるので、どうしても、重心?作用線の距離が離れて、大きくなってしまいます。そのモーメントでランチラグとロッドのガタ分だけほんの少し回転します。ラグのエッジがロッドに当たった所で回転が止まります。(図−2)

この時ロッドからラグに、はじめの回転モーメントを打ち消す逆モーメントーMを生じる為の抗力Fが発生します。その抗力Fのロッド面に垂直な分力をNとします。このロッドがラグに押し当たる垂直抗力Nにより新たに摩擦力fが発生します。この接触点での摩擦係数をμと表すと、f=μ×Nとなります。摩擦係数は接触表面の状態で異なる値になります。滑り易さを表す数値で、小さいほど滑り易いと言えます。この摩擦力が初めの摩擦力より大きくなった場合、さらに大きな回転モーメント、垂直抗力、摩擦力の発生へとつながり、摩擦力増大のループ(右図)に陥りどんどん摩擦力が増えて行きます。この摩擦力が推力まで増大すると、滑走が止まります。(=ロッドに引っ掛かる)全推力をラグの取り付け部で支えるかたちになります。ラグの取り付けが弱いとそこから壊れます。(=ラグが外れる)
 以上から、a.摩擦力fを小さくすることと、b.ラグの取り付け強度を上げることが必要だと分かります。

ラグにかかる摩擦力を小さくするには
 図−3はラグにかかる摩擦力を小さくするには、どうしたら良いかを、考えてみた結果です。他にも有るかもしれませんので、考えてみて下さい。
@ ラグのガタが極端に大きいと、推力の横分力が増大し、垂直抗力(押し付ける力)が大きくなる為に、摩  擦力が増大します。

A ラグを重心に近付けると、どうなるか?
 部材に掛る回転モーメントは、同じ大きさの力でも、回転の中心(支点)から、力の作用線へ、垂直に降ろした線の長さが、長いほど大きくなります。逆に、ラグを重心に近付けると、回転モーメントは小さくなります。

B ラグとロッドのミスアライメントが大きい(取り付けがずれている)と、ラグのガタが大きい時と同様に、摩擦力が増大します。ラグの取り付けが真直ぐ(機軸と平行)でないと、エンジンの推力の横分力が、縦ずれの場合は、ラグをロッドに押付ける力として働きます。横ずれの場合 には、ラグ軸を中心に機体を回転させる力として働きます。その結果として生ずる遠心力がラグをロッドに押し付ける力となります。ずれ角が大きいほど、その力は増大します。いずれにしても、ラグを推力軸(=機軸)と平行に取り付けないと摩擦力が増える原因となります。(図−3)
C ストローを切り出す時にどうしてもバリ(端部のギザギザ)が出てしまうことが有ります。これが内側に出てしまうと摩擦力が増える原因となります。バリの凸部に力が集中し、ロッドと擦れ合う時に、凸部が変形したり、剥ぎ取れたり、するときに力がかかる為です。

D ロッドの汚れやキズの影響は?
 滑らかな面より、汚れやキズの有る面の擦れ合いは摩擦が増える原因となります。

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